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「アンプ改造のご紹介 その⑧」

Suhr Bella
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「サウンドシステムとチューブアンプのベストマッチを追求して導き出されたペアリングコンセプト、

システムポテンシャルを全開まで引き出すプラットフォーム型アンプ Bella」

なるほど、持ち込まれて最初に音を出した感想が「素直なアンプ」でした。

音にクセや偏った帯域も無くコンセプト通りのサウンド。

この素直さを残しつつ音を立体的に操れるよう手を入れました。

スピーカーを純正からELECTRO VOICE EVM-12Sへ交換もご希望でした。

コントロールはVOLUME/TREBLE/BASS/PRESENCEのみと至ってシンプル。

改造メニューは以下の通り。

・インピーダンスMOD 製品コンセプトからしてアン直はしない、
割り切ってINPUTはローインピーダンス専用に。
RETURN入力のインピーダンスもエフェクターにマッチングするよう見直しました。

・EQシフトとMIDDLE追加
EQの突いている周波数をより音楽的な効きへと変更、
MIDDLEは特定の周波数をブーストするのではなく上げていくと美味しい中域が前へ出る感じに。
各EQの効きはキビキビと働くように変化しており素早く狙ったサウンドに追い込めます。

・SHIFTコントロール追加
EQでセッティングした音色はそのままに音の重心を上下出来るコントロール。
ローエンドがしっかり再生されるEVM-12S搭載を見越してのご提案でした。

KANTER搭載
正相信号のみをブースト出来る特殊なブースターです。
ブースト量は僅かMAX3dbですがツマミ10時程度の位置、
ブースト量で言うとj若干1db程度でも驚きの効果が得られます。
音が立体的に変化しスピーカーの口径が大きくなって行く様な感覚は唯一無二の効果です。

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仕上げはキャビネット強化。

スピーカー最大の敵は振動です。

キャビネットが見た目にガタガタ動く訳ではありませんが、

音量が上がるにつれスピーカーが起こす微振動はキャビネットに伝わり

低音を奪い中域を濁らせ高域に歪みを発生させます。

キャビネットの徹底的に排除し振動するのはスピーカーコーンの前後ストロークのみ。

クリーンはよりクリーンに、

ドライブサウンドは余分なスピーカーディストーションを排除したピュアなドライブサウンドへ変化します。

大きな音にした時に耳障りな帯域が生まれるのは余分な振動が原因のひとつです。
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スピーカーケーブルをORBへ交換
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完成後の音出しでもコンセプト通り基本のキャラクターは変えず、

音の出方が自在にコントロール出来る様になり

スケールの大きい奥行のあるサウンドへと変貌しました。

お引渡ししてから時間は経っていますが仕上がりにはご満足いただけいるようです。

Suhrのアンプは基本設計がしっかりしていて造りも良いので手の入れ甲斐があります。

昔OD-100にインピーダンスMODだけやった事がありましたが

今ならもっとブラッシュアップして新たなサウンドが構築出来るでしょうね。

良いアンプはそれだけ音色以外の伸びしろが大きいのだと思います。


この記事に関するお問い合わせやご相談は下記アドレスまで。

evaemis@power.email.ne.jp
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「アンプ改造のご紹介 その⑦」

アンプ改造ネタがたまって来たのでまたボチボチご紹介させていただきます。

以前にも紹介させていただいた「FENDER BASSMAN REISSUE」
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調子が悪いので診てほしいとご連絡があり送られてきました。

別途ご相談で以前ブログに掲載していた動画のような音にならないかと言う内容でした。

2017年11月に投稿したブログにアップした動画でした。


投稿した本人も忘れていた動画でしたが二つ返事で「出来ます」とお答えしました。

BASSMAN REISSUEが64’VIBROVERB CUSTOMの様な音に?

と思われるかもしれませんがEVAで改造したフェンダーアンプなら可能です。

音色をイジッてどうこうより音の出方をとことん追い込み磨き上げる方法です。

アンプ本体は足掛け4年掛けてにインピーダンスMOD・EQシフト・ポイントトゥポイント・

リバーブ搭載・チャンネルリンク改造・整流管追加・マスターボリューム追加、

充分手を入れ尽くしてあります。

お預りし久しぶりに音を出して感じたのはボリュームを上げて行くと12時を越えたあたりから

スピーカーが限界に達してしまいEQをどうイジっても音の変化がつかなくなり歪みはファズっぽくなってしまう。

アルニコジェンセン4発もイナタさがあり決して悪いスピーカーではないのですが、

モディファイしたアンプのポテンシャルを全て出し切る前にスピーカーが音を上げる状態でした。

動画の様な音にするにはELECTRO VOICE EVM-15Lが不可欠ですので、

こちらからのご提案としてへEVM-15L載せ替えとキャビネットの強化です。

BASSMANにEVM-15Lを搭載するにはいくつかハードルがあります。

・スピーカー取り付け面のバッフル板をEVM-15L用に新たに製作しなくてはならない。

・出力トランスが2Ωなので8Ωへの交換が必要。

バッフル板製作はキャビネット内側を見た限り大きな障害は無さそうでした。
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バッフル板製作を合わせてキャビネットそのものを強化する改造も行いました。

EVM-15Lをフルに鳴らし切るにはただ載せ替えればOKではありません。

フェンダーのキャビネット構造ってスピーカーを手で持って鳴らしてるのと変わらない様な脆弱な構造です。

EVM-15Lをただ載せるだけでは音量を上げると共にキャビネットが振動してしまい

低域が奪われ中域が濁り高域が歪んでしまい動画の様なクリーンサウンドにはなりません。

キャビネットが振動しないよう徹底的に振動を排除する特殊な加工をキャビネット内に施しました。
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キャビネットと言うのはクルマに例えるとボディとサスペンションだと思います。

ヤワなボディとフニャフニャのサスペンションではいくら良いタイヤを履かせても思い通りには動いてくれません。

高剛性のボディと走りを受け止めるしっかりしたサスペンションがあってこそ良いタイヤの性能が発揮できるというものです。

次に出力トランスの交換です。

出力50W8Ωというスペックのトランスはフェンダー純正では見当たらず困っていた所、

日本のアテネ電機様で製作しているのをネットで見つける事が出来ました。
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(右の黒いトランスが純正です、幅や奥行が一回り大きくなっています)

BASSMAN用ではないのでネジ穴などは当然合わず取り付けには加工を必要とします。

なにせEVM-15Lを載せたキャビネットとトランス交換したアンプヘッドは

最後に組み合わせるのでトランスがキャビネットやスピーカーフレームに

当たらないかドキドキでしたが無事取り付け完了出来ました。
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ギリギリセーフでした!
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正面から見たら全く違和感無し!
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キャビネット強化したアンプにはORBスピーカーケーブルへ必ず交換。
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スピーカー交換も伴っていたのでトランス交換の効果がどこまで体感出来るか少し不安でしたが、

音が落ち着き大音量でも破綻せず倍音が整っていて耳に非常に心地よいアンプサウンドとなり、

出音の速さや圧も確実に増してテストの音出し段階で

オーナー様には絶対ご満足いただけると確信出来る音でした。

無事お引渡しも完了し後日スタジオで鳴らしてみた感想を送っていただけました。

●バンド形態
ギター、ベース、ドラムのスリーピース

●アンプのセッティング
トレブル10 ミドル6 ベース2 プレゼンス12 ノーマルvol10 ブライトvol8 マスターvol2

●ギターの操作
ボリューム デフォルト8 ブースト10 トーン変化なし10

音圧とスピード感とレスポンスが大幅に良くなっていて、しばらくはコントロールに戸惑いましたが
慣れてくると思い通りにニュアンスが出せるようになって非常に刺激的でした。

音のキラキラ感とハリとコシに素晴らしいものがありました。巻弦もプレーン弦も
それぞれの特徴が解像度高く再現されているのがよく分かりました。
ロスなく素直にいい音が出るアンプに仕上がっていて、言うこと無しです。

マスターボリューム増設から始まり、数々の素晴らしい施工をありがとうございました。
一生モノのアンプとしてこれから付き合っていこうと思います。


やり取りの当初はアンプ買い替えの良い候補はないかと聞かれましたが、

絶対動画の様な音になるからアンプはこのままで行きましょうとのやり取りもありました。

アンプを買い替えてしまうとまた全てイチからやり直しです。

吊るしの状態で求められている様なサウンドが出るアンプも心当たりがありませんでしたし、

最終的には一番良い結果を迎える事が出来たと思います。


この記事に関するお問い合わせやご相談は下記アドレスまで。

evaemis@power.email.ne.jp
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Author:evaemis
大阪でオリジナルエフェクターやエフェクトボード製作を手掛けるEVA電子楽器サービスです。

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