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そこに鳴る 藤原美咲さんのベースシステムについて「位相合わせ編」の補足です。

当たり前の様に「正相」「逆相」と書いていましたが、

そもそも「正相」だったらどうなるの?「逆相」だったらどうなるの?

そこの説明が全く無いままダラダラ書いていましたので、

ブログの意味がさっぱり分からないかと思い補足させていただきます。

弊社WEBに詳しく説明はしているのですがここではザックリ簡単に書いてみます。

「位相」とは音の向く方向だとお考え下さい。

正相」だと音が前に進むが「逆相」だと音が後ろへ進む。

アンプを鳴らすスピーカーは表からも裏からも音が出ますので

ベース単体だと「正相」か「逆相」か中々判別出来ません。

ただアンサンブルとなると一転「逆相」だった場合の弊害が露出します。

ドラムのキックは後ろから叩いて前に音を飛ばすので常に「正相」です。

アンサンブルではこのキックの音が基準となります。
キック

もしベースが「逆相」だと鳴らす帯域の被るキックと互いに音を打ち消しあってしまいます。

ba_n.gif

打ち消しあうと言っても音が完全に消える訳ではありませんが、

音ヌケが悪くなり非常にリズムが取り辛くなります。

ベーシストはリズムが取り辛くなりドラマーはベースのモニターがし辛くなります。

ステージではベーシストは自分の音が抜けて来ないのでアンプの音量を上げすぎてしまう、

それでも聞き取り辛いドラマーがモニターでやたらベースをもっと返してくれと言う。

典型的な「逆相」あるあるです。

正相」「逆相」がぶつかり合い音を打ち消し合うのは原理原則の問題なので、

アンプやエフェクターでいくら音色をイジッてもベース音ヌケ問題は解決しません。

だからEVA電子ではまず「位相」を調べる所からスタートします。

アンサンブル全て音の進む方向を前に向かう様揃えるのです。

all_p.gif

この環境になるとウソの様に演奏がし易くなります。

アンプから出す音量も最小限で済むのでボーカルやコーラスワークの練習も捗ります。

まず環境を整えてから「音作り」をスタートしましょうと提案しています。

出音の位相を考えてモノ作りがされていないので

正相」で出てたらラッキーと言うのが現状です。

ベーシストの音作りの悩みの根本が「位相」問題なので

これが解決した途端ベーシストの皆さんは来なくなってしまいます(笑)

ここからが本当のスタートでもっと突っ込んだベースサウンドメイキングを

長年構想していて構築したかったのですが中々その機会が訪れませんでした。

藤原美咲さんとの取り組みでようやくその機会が訪れたので

何度かに分けてでもブログで紹介しようと思ったきっかけです。

また近日更新させていただきます。
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発想の転換で

このブログでは何度もワウはON時位相反転するので

EVAではON時に反転しないようにモディファイしているとご紹介しています。

参照記事

ワウだけではなくフェイザーやコーラスなども同様のモディファイを施して来ました。

しかし歪みのエフェクターだけはあまりおすすめ出来ませんでした。

非常に複雑な倍音構成を持つ歪みのエフェクターは

その回路に位相反転回路を組み込むとどうしても音が変化します。

ギタリストにとっての歪みは非常に拘りのある部分なので

ほんの僅かにでも音が変化すると許せないんですよね。

今回ご相談いただいたエフェクターはショップオリジナルなのだそうですが、

位相を調べて欲しいと持ち込まれました。

弾いていて「あれっ?」と思ったのでしょうね。

調べてみるとON時に逆相になってました。

音を変えずに逆相なんとかなりませんかとの要望にどう応えようか。

ONの時逆相ならOFFの時も逆相にすればいいんだ、

トゥルーバイパスならバイパス回路に位相反転回路を組み込んでバッファードにすればいい。


これならONの時もOFFの時も逆相になるのでそれさえ頭に入れて

出音の位相を整えればOKになります。

歪みの回路に一切手を加えずバイパス時にはSoundStabilizerが掛かる、

入力がHi-Zで出力がLo-ZなのはONの時もOFFの時も変わらない。

P1030859.jpg

これ以外の方法だとスイッチングシステムに組み込んで

ラッチスイッチを使って特定のエフェクターがONの時だけに位相反転させるなど、

システムが複雑になりコストも掛かってしまいます。

今回はベストな方法がご提案出来たかなと胸を撫で下ろした次第です。

BPHC-1

P1030139.jpg

電源が入っているのに音が出ないと持って来られた当社のD.Iです。

結果電池を交換した動作したので故障ではありませんでした。

結構電圧が下がっていてもLEDが光っている事があるので、

「あれ、おかしい?」と思ったらまず電池を新しい物にしてみて下さい。

このD.Iも購入いただいてから3~4年ほど経ちます。

一番最初にPHC-1を購入していただいて使っていたのですが、

ライブをして録音した音源を聞いてみるとベースが逆相でした。

アンプの出音の位相を合わせてライブしたはずなのに

何故だろうと考えて生まれたのがこの「BPHC-1」です。

ライブの際ベースの音はマイキングよりD.I優先です。

アマチュアのブッキングライブなどではほとんどアンプの音はモニター用で

外音は100%D.I側のラインサウンドが反映されます。

だからアンプの音の位相だけを合わせてもD.Iのライン側で

反転してしまっている事もあるのでアンプ側とD.I側の2系統に位相切替スイッチを装備したのです。

アンプもラインも逆相だとドラムと打ち消しあってプレイし難いのですが、

アンプが正相でラインが逆相だとアンプの出音と足元のモニターの出音が

互いに打ち消しあうのでベーシストは自分の音がほとんど聞こえなくなります。

ベーシストの音の悩みはほぼ位相で解決してしまいますから、

色んなエフェクターを足したりベース本体を買い換える前に

位相を合わせる所から始めてみて下さい。

PHC-AUDIO

audio_1.jpg

PHC-AUDIO

お手持ちのオーディオシステムに追加できるステレオフェイズコントロールシステムです。

写真右にあるスイッチを押すと左右位相が反転します。

これを使って自分の持っているCD等を聞くと

いかに楽器の位相を考えず録音されているかがよく分かります。

特にベースラインが聞き取りにくい音源などはほぼ逆相で録音されている事が多く、

音源の位相を反転させると見事にベースラインが再生されます。

ピアノ、アコースティックギターなども逆相が多いので反転させると

美しい倍音成分が出てきたりアコギはアタックや指板を這う指のタッチまで聞く事が出来ます。

今持っている音源がもう一度楽しめるアイテムです。

レコーディング後の最終チェックに使ってくれているミュージシャンもいらっしゃいます。

入出力にミニジャックとRCAプラグを装備しています。

audio_2.jpg

audio_3.jpg


続・5LOOP SELECTOR

写真_3

以前このブログで紹介した試作品ループセレクターを使ったボードが組みあがったと写真を送って頂きました。

全てご自身で組上げているそうなのですが、素晴らしい出来栄えです。

4種類の歪みとブースターを組み込み、5種類の音色としてプリセットしています。

まだ組んだばかりで位相のプリセットなどはしていないのですが、

音が格段にクリアになりヌケが良くなったと報告頂きました。

5個の直列エフェクターがセレクターに纏められたのですから

バイパス音からして改善されるのは当然でしょう。

やはりトゥルーバイパスと言えども直列でいくつも繋ぐと明らかに抵抗になります。

しっかり位相までプリセットすれば個々のエフェクター本来のサウンドが引き出される事でしょう。

まだ電源の取り方など手直ししたい箇所があるので今後詰めて行きたいと思います。



プロフィール

evaemis

Author:evaemis
大阪でオリジナルエフェクターやエフェクトボード製作を手掛けるEVA電子楽器サービスです。

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