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アンプチャンネルの異なる位相を揃える改造

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FENDER HOTROD DELUXE 人気のミドルクラス真空管アンプです。

モディファイ依頼を受けたこのアンプに新たな試みの改造を取り入れました。
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このアンプには「NORMAL」「DRIVE」と2チャンネル装備しフットスイッチで切替が可能です。

問題は「NORMAL」と「DRIVE」チャンネルの位相が異なる事です。

この問題はほぼ全てのマルチチャンネルアンプが抱える現象でこのアンプに限った話ではありません。

このアンプは「NORMAL」チャンネルが「逆相」で「DRIVE」チャンネルが「正相」です。
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多くのフェンダーシングルコイルギターの位相は「正相」ですのでこのアンプと組み合わせた場合

フェンダーストラト(正相)→NORMALチャンネル(逆相)=出音(逆相

フェンダーストラト(正相)→DRIVEチャンネル(正相)=出音(正相

ギブソンレスポールに代表されるハムバッカーギターは「逆相」なので出音の結果は逆になります。

ギブソンレスポール(逆相)→NORMALチャンネル(逆相)=出音(正相逆の逆は正相になります

ギブソンレスポール(逆相)→DRIVEチャンネル(正相)=出音(逆相

この出音の位相問題もどちらかのチャンネルしか使わないなら当社のスタビライザーの様に、

位相を切り替える事が出来るアイテムがあれば解決します。

しかしフットスイッチでチャンネルを使い分けるとなると大変です。

演奏中に位相スイッチを切り替える事は現実的ではありません。

今まではラッチ信号で位相を切り替える事の出来るスタビライザーで対処していました。

SSPH-HG2 30V EXT-CONTROL
ssph-hg2ext.png

この方法だとラッチ信号をコントロールするスイッチングシステムが別途必要になります。

複数のラッチ信号でアンプチャンネルと位相を同時に制御出来る様にもなります。

多数エフェクターを並べるプレーヤーならそれでいいかもしれませんが、

ギターとオーバードライブとアンプみたいなシンプルなシステムに

わざわざスイッチングシステム導入は面倒でボードも巨大化してしまいます。

前置きが長くなりましたがチャンネルを切り替えても位相が変わらない様にする改造を施したのです。

アンプの音質や質感を変えずに位相を揃える新回路が実用化出来ました。

これはアンプ基盤に直接組み込む回路ですのでアンプそのものをお預りし改造する必要があります。

今回のHOTRODは「DRIVE」チャンネルに回路を組み込み「NORMAL」「DRIVE」共に逆相で揃えました。

よく勘違いされるんですがギター・エフェクター・アンプなどの個別の位相は正相でも逆相でもいいんです。

色々組み合わせてキャビから出ている音が「逆相」だと他の楽器と混ざった時に色々問題が発生します。

バンドで音作りする前にまず位相を合わせる所からスタートしてみましょう。

少なくともバンド内で自分の楽器の音ヌケに困る事は無くなります。

以前バンドをやっていた時に位相の事を知りマイアンプ(5150Ⅱ)を調べたところ

クリーン・クランチチャンネルが正相でリードチャンネルが逆相が判明し

当時演奏中にアンプチャンネル位相を制御する方法がなかったので

マイアンプを持ち込む事をやめていた時期がありました。

わざわざ苦労して重いアンプをライブハウスに持ち込んで逆相で演奏するバカバカしさに気付いたからです。

それからアンプ専用位相コントロールフットスイッチを製作から始まり、

ラッチで位相コントロールするようになり随分出音の位相コントロールは楽になりました。

十数年経ちようやく「音質」「質感」を変えずに位相を揃えるアンプ改造まで辿り着きました。

これで最小システム、ギターとアンプだけでも常に正相でプレイ出来る環境を整える事が出来ました。

アンプ同位相改造は1チャンネルあたり20,000円~です。

例えば5150Ⅱの様にクリーン・クランチが同じチャンネルなら改造は1チャンネルの費用で済みます。

クリーン・クランチ・リード等切り替える事に出来るアンプで位相が変わらないアンプはほとんどありません。

今まで調べた限りほんの数台だけです。

せっかくならストレスフリーでアンプの能力を全て発揮出来る様にしてあげては如何でしょうか。

このブログに関するお問い合わせは下記メールアドレスまで。

evaemis@power.email.ne.jp

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「アンプ改造のご紹介 その⑧」

Suhr Bella
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「サウンドシステムとチューブアンプのベストマッチを追求して導き出されたペアリングコンセプト、

システムポテンシャルを全開まで引き出すプラットフォーム型アンプ Bella」

なるほど、持ち込まれて最初に音を出した感想が「素直なアンプ」でした。

音にクセや偏った帯域も無くコンセプト通りのサウンド。

この素直さを残しつつ音を立体的に操れるよう手を入れました。

スピーカーを純正からELECTRO VOICE EVM-12Sへ交換もご希望でした。

コントロールはVOLUME/TREBLE/BASS/PRESENCEのみと至ってシンプル。

改造メニューは以下の通り。

・インピーダンスMOD 製品コンセプトからしてアン直はしない、
割り切ってINPUTはローインピーダンス専用に。
RETURN入力のインピーダンスもエフェクターにマッチングするよう見直しました。

・EQシフトとMIDDLE追加
EQの突いている周波数をより音楽的な効きへと変更、
MIDDLEは特定の周波数をブーストするのではなく上げていくと美味しい中域が前へ出る感じに。
各EQの効きはキビキビと働くように変化しており素早く狙ったサウンドに追い込めます。

・SHIFTコントロール追加
EQでセッティングした音色はそのままに音の重心を上下出来るコントロール。
ローエンドがしっかり再生されるEVM-12S搭載を見越してのご提案でした。

KANTER搭載
正相信号のみをブースト出来る特殊なブースターです。
ブースト量は僅かMAX3dbですがツマミ10時程度の位置、
ブースト量で言うとj若干1db程度でも驚きの効果が得られます。
音が立体的に変化しスピーカーの口径が大きくなって行く様な感覚は唯一無二の効果です。

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仕上げはキャビネット強化。

スピーカー最大の敵は振動です。

キャビネットが見た目にガタガタ動く訳ではありませんが、

音量が上がるにつれスピーカーが起こす微振動はキャビネットに伝わり

低音を奪い中域を濁らせ高域に歪みを発生させます。

キャビネットの徹底的に排除し振動するのはスピーカーコーンの前後ストロークのみ。

クリーンはよりクリーンに、

ドライブサウンドは余分なスピーカーディストーションを排除したピュアなドライブサウンドへ変化します。

大きな音にした時に耳障りな帯域が生まれるのは余分な振動が原因のひとつです。
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スピーカーケーブルをORBへ交換
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完成後の音出しでもコンセプト通り基本のキャラクターは変えず、

音の出方が自在にコントロール出来る様になり

スケールの大きい奥行のあるサウンドへと変貌しました。

お引渡ししてから時間は経っていますが仕上がりにはご満足いただけいるようです。

Suhrのアンプは基本設計がしっかりしていて造りも良いので手の入れ甲斐があります。

昔OD-100にインピーダンスMODだけやった事がありましたが

今ならもっとブラッシュアップして新たなサウンドが構築出来るでしょうね。

良いアンプはそれだけ音色以外の伸びしろが大きいのだと思います。


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evaemis@power.email.ne.jp

「アンプ改造のご紹介 その⑦」

アンプ改造ネタがたまって来たのでまたボチボチご紹介させていただきます。

以前にも紹介させていただいた「FENDER BASSMAN REISSUE」
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調子が悪いので診てほしいとご連絡があり送られてきました。

別途ご相談で以前ブログに掲載していた動画のような音にならないかと言う内容でした。

2017年11月に投稿したブログにアップした動画でした。


投稿した本人も忘れていた動画でしたが二つ返事で「出来ます」とお答えしました。

BASSMAN REISSUEが64’VIBROVERB CUSTOMの様な音に?

と思われるかもしれませんがEVAで改造したフェンダーアンプなら可能です。

音色をイジッてどうこうより音の出方をとことん追い込み磨き上げる方法です。

アンプ本体は足掛け4年掛けてにインピーダンスMOD・EQシフト・ポイントトゥポイント・

リバーブ搭載・チャンネルリンク改造・整流管追加・マスターボリューム追加、

充分手を入れ尽くしてあります。

お預りし久しぶりに音を出して感じたのはボリュームを上げて行くと12時を越えたあたりから

スピーカーが限界に達してしまいEQをどうイジっても音の変化がつかなくなり歪みはファズっぽくなってしまう。

アルニコジェンセン4発もイナタさがあり決して悪いスピーカーではないのですが、

モディファイしたアンプのポテンシャルを全て出し切る前にスピーカーが音を上げる状態でした。

動画の様な音にするにはELECTRO VOICE EVM-15Lが不可欠ですので、

こちらからのご提案としてへEVM-15L載せ替えとキャビネットの強化です。

BASSMANにEVM-15Lを搭載するにはいくつかハードルがあります。

・スピーカー取り付け面のバッフル板をEVM-15L用に新たに製作しなくてはならない。

・出力トランスが2Ωなので8Ωへの交換が必要。

バッフル板製作はキャビネット内側を見た限り大きな障害は無さそうでした。
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バッフル板製作を合わせてキャビネットそのものを強化する改造も行いました。

EVM-15Lをフルに鳴らし切るにはただ載せ替えればOKではありません。

フェンダーのキャビネット構造ってスピーカーを手で持って鳴らしてるのと変わらない様な脆弱な構造です。

EVM-15Lをただ載せるだけでは音量を上げると共にキャビネットが振動してしまい

低域が奪われ中域が濁り高域が歪んでしまい動画の様なクリーンサウンドにはなりません。

キャビネットが振動しないよう徹底的に振動を排除する特殊な加工をキャビネット内に施しました。
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キャビネットと言うのはクルマに例えるとボディとサスペンションだと思います。

ヤワなボディとフニャフニャのサスペンションではいくら良いタイヤを履かせても思い通りには動いてくれません。

高剛性のボディと走りを受け止めるしっかりしたサスペンションがあってこそ良いタイヤの性能が発揮できるというものです。

次に出力トランスの交換です。

出力50W8Ωというスペックのトランスはフェンダー純正では見当たらず困っていた所、

日本のアテネ電機様で製作しているのをネットで見つける事が出来ました。
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(右の黒いトランスが純正です、幅や奥行が一回り大きくなっています)

BASSMAN用ではないのでネジ穴などは当然合わず取り付けには加工を必要とします。

なにせEVM-15Lを載せたキャビネットとトランス交換したアンプヘッドは

最後に組み合わせるのでトランスがキャビネットやスピーカーフレームに

当たらないかドキドキでしたが無事取り付け完了出来ました。
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ギリギリセーフでした!
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正面から見たら全く違和感無し!
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キャビネット強化したアンプにはORBスピーカーケーブルへ必ず交換。
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スピーカー交換も伴っていたのでトランス交換の効果がどこまで体感出来るか少し不安でしたが、

音が落ち着き大音量でも破綻せず倍音が整っていて耳に非常に心地よいアンプサウンドとなり、

出音の速さや圧も確実に増してテストの音出し段階で

オーナー様には絶対ご満足いただけると確信出来る音でした。

無事お引渡しも完了し後日スタジオで鳴らしてみた感想を送っていただけました。

●バンド形態
ギター、ベース、ドラムのスリーピース

●アンプのセッティング
トレブル10 ミドル6 ベース2 プレゼンス12 ノーマルvol10 ブライトvol8 マスターvol2

●ギターの操作
ボリューム デフォルト8 ブースト10 トーン変化なし10

音圧とスピード感とレスポンスが大幅に良くなっていて、しばらくはコントロールに戸惑いましたが
慣れてくると思い通りにニュアンスが出せるようになって非常に刺激的でした。

音のキラキラ感とハリとコシに素晴らしいものがありました。巻弦もプレーン弦も
それぞれの特徴が解像度高く再現されているのがよく分かりました。
ロスなく素直にいい音が出るアンプに仕上がっていて、言うこと無しです。

マスターボリューム増設から始まり、数々の素晴らしい施工をありがとうございました。
一生モノのアンプとしてこれから付き合っていこうと思います。


やり取りの当初はアンプ買い替えの良い候補はないかと聞かれましたが、

絶対動画の様な音になるからアンプはこのままで行きましょうとのやり取りもありました。

アンプを買い替えてしまうとまた全てイチからやり直しです。

吊るしの状態で求められている様なサウンドが出るアンプも心当たりがありませんでしたし、

最終的には一番良い結果を迎える事が出来たと思います。


この記事に関するお問い合わせやご相談は下記アドレスまで。

evaemis@power.email.ne.jp

「アンプ改造のご紹介 その⑥」

直近に納品させていただいた「Marshall JCM800 Reissue」のご紹介です。
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このアンプはブログを書いている管理人の私物だった物で、

79年製JMPに入れ換えたのでデジマートに出品していました。

インピーダンスMOD・EQシフト・ポイントトゥポイントの3点のモディファイを施しています。

購入希望のお問い合わせと合わせて追加で改造したいプランが記されていました。

・クリーンチャンネル追加

・リードチャンネル追加

・ノイズゲートを内蔵

・アッテネーターを内蔵

これら4点に加えてこちらからのご提案として

・SHIFTコントロール追加

・INPUTのHi-ZとLo-Zを選択可能に

以上が今回改造を施した内容です。

クリーンチャンネルとリードチャンネルの追加はすぐにイメージ出来ました。

元々1チャンネルアンプをギターボリューム操作でクリーンからドライブサウンド、

オーバードライブを踏んでリードサウンドへとサウンドメイキングが出来るコンセプトだったからです。

リードチャンネルは以前「TUBE MOD」を製作し真空管を追加したリードサウンドもイメージ出来ていました。

クリーンチャンネル追加方法はいたって簡単、

ノーマルのGAINコントロールをもう1個追加しミニスイッチまたはフットスイッチで切り替えます。

GAIN1をクリーンとするなら下げ目に設定、GAIN2をドライブとするなら好みの位置まで上げるだけです。
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クリーンと言ってもマーシャルなのでフェンダーの様なドクリーンは出せません。

マーシャルをドライブさせギターのボリュームを絞った時に生まれる

マーシャル特有の良いクリーンサウンドが切り替えひとつで作れます。

リードチャンネル用には12AX7を1本追加しますがあらゆる工夫を施しています。

真空管で簡単にゲインアップは図れますが位相の問題が生じます。

ブーストをONにすると位相が反転してしまうので反転しないよう特別な回路を設計しました。

ブーストをONすると音が引っ込む、またはブーストをONにした時だけ音が抜けるなんて事はありません。

音質に関しても拘りました。

TUBE MODを取り付けた時に感じた不満点、

エフェクターでブーストするより良いハイゲインは作れるがブーストしていくと飽和感も増してしまい、

低音弦のリフを刻んだ時などにスピード感とエッジが着いて来ないと感じていました。

クリーンの延長線上にリードサウンドが位置出来るようブーストサウンドには徹底的なチューニングを施しました。

リードサウンドに切り替えてもピッキングアタックの初速や低音弦の輪郭がホヤけない

芯とスピード感のあるリードサウンドを構築しました。

ブースト量も過剰にせず飽和しないギリギリのブースト量をいくつも試作を重ね決定しました。



一番最初のサウンドチェックの際撮った動画です。

ギターはN4を直、クリーンサウンドはミックスポジション、リードサウンドはリアL500です。

ドライブゲイン・ブーストゲイン・プレゼンス・トレブル・ミドルは全てMAX,

ベースとシフトは輪郭を失わないよう5辺りで調整しマスターボリュームは2.5程度です。

シフトコントロールとはEQで作った音は崩さず音の重心を上下出来る独自の回路です。

この動画をご依頼者様にお送りしてサウンド面ではOKをいただけました。

難関はサウンド面ではなくノイズゲートとアッテネーター内蔵とそれらのコントロールでした。

内蔵用ノイズゲートをiSPデシメーター2に決めて

インピーダンス調整や高入力にも耐えるモディファイを施しましたが、

ゲートをONするとサウンドの変化が著しくサスティンの減衰も不自然で許容出来ません。

プリアンプ→パワーアンプ間でいくつも取り付け位置を変えて試験し

最終的に納得出来る位置が見つかりました。

アッテネーターはEVA製品のFINAL TRIMERをこのアンプ用にリファインして内蔵しました。

ある程度の小音量でもヌケが確保出来るように見直しを図り使用時に違和感が無いように注意を払いました。
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追加した機能のコントロールはミニスイッチでON/OFF可能の他、

チャンネル・ブースト・ノイズゲートは外部フットスイッチにてON/OFF可能にしています。
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ON/OFFの制御は単純な機械式ラッチではなく電子制御タイプとしています。

切り替えた際のポップノイズの心配はありませんし切り替えのレスポンスも違和感ありません。

全て専用設計ですのでノーマル状態の内部と改造後の内部を見比べていただければ

只ならぬ雰囲気がお分かりいただけるかと思います。

これが
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こう
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多機能にしたり便利にしたりする事が目的ではありませんので

あくまでご依頼者様が理想とするマーシャルサウンドを具現化し、

せっかく追加した機能がサウンドの足を引っ張る事の無いように考慮した結果です。

納品を終え数日後にご依頼者様からご連絡いただけましたが本当に気に入っていただけた様で安心しました。

納期を大幅に延長いただいてお待たせしてしまいましたが

「自分が理想としていたマーシャルサウンド」とのお言葉をいただきうれしい限りです。

ご注文から完成に至るまでのやり取りはメールだけでお会いした事はもちろんお電話でお話した事もありません。

全面的に信頼いただきお任せいただけた事が本当にありがたくもありプレッシャーでしたが

マーシャルのモディファイに関しては新たなノウハウがいくつも蓄積出来ました。

いつになるかは分かりませんが今回の改造を踏まえた上で

79年製JMPをデモ機として試奏出来るようにしたいと思っています。

「アンプ改造のご紹介 その⑤」

今回は大胆にもビンテージアンプを改造した例です。

どちらも60年代中期のFENDERヘッドアンプです。

BASSMAN AMP
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BAND-MASTER
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ブラックフェイスのフェンダーアンプは如何にオリジナルを保っているかが価値の基準で

改造してしまうなんてとんでもないと言うのが一般的なご意見でしょう。

ごもっともです。

ただ現行のギターやエフェクターを織り交ぜたシステムとして考えた場合、

アンプがオリジナルのままでシステムが成り立つでしょうか。

難しいと思います。

ご紹介する2台のアンプは共にインピーダンスMODとEQシフトを施しています。

入力はローインピーダンスのみと割り切っています。

EQはもう少し突っ込んで「MIDDLE」を追加しています。

このMIDDLEは固定された中域の周波数を上げたり下げたりすると言うよりは、

ギターの肝になる中域を前に押し出す感覚で効きます。

後述するKANTERの効果との相乗効果でより音が立体的になります。

あくまでもアンプの持つキャラクターは崩さず現行機材との融合を考えて手を入れています。
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ここからの改造はどなたにでもお勧め出来る改造ではないかもしれません。

SEND・RETURNの増設ですがかなり思い切っています。

なにせ片方のチャンネルを潰してそのジャックとツマミを

そのままSEND・RETURNに流用してしまうのですから。
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ここまで手を入れる事に賛成した理由はアンプの歪みを最大限に活かせると判断したからです。

2台ともVOLUMEを上げるとナチュラルにドライブしフェンダー独特の素晴らしいサウンドが作り出せます。

このドライブサウンドに空間系を掛けたい場合どうしてもアンプ手前にエフェクターを配置せざるを得ず、

リバーブやディレイの後に歪みが来るのでどうしても空間系が濁ります。

その問題点を解消するための対策です。

単純にエフェクトループを増設すると問題があります。

歪みの加減はVOLUME操作のみで行うので歪ませたければVOLUMEを上げるしかありません。

単純なエフェクトループではSENDからの信号レベルがとんでもなく高いレベルになってしまい、

普通のエフェクターではすぐにクリップしてエフェクター内で音が割れてしまいます。

その問題点を改善するためにSENDとRETURNにそれぞれ独立したボリュームを備えています。

アンプのVOLUMEを上げて歪みを作り出した後にSENDボリュームで

エフェクターに入力出来るレベルまで調整する事が出来ます。

エフェクターのヘッドルームギリギリまでSENDボリュームを上げる。

レベルメーターの付いていないエフェクターだと

自分の耳で判断しなくてはいけないので難しい調整です。

最後はRETURNボリュームで全体の音量を調整します。

マスターボリュームの役割も兼ねています。

ここを絞りすぎるとパワー部に行く信号量が減ってしまうのでドライブ感が失われます。

結局それなりの音量を出さないとアンプがドライブしてくれないので、

自宅で鳴らせる位の小音量でアンプをフルテンにしたサウンドが

作り出せると言った美味しい話でもありませんのでご注意下さい。

またエフェクトループに繋ぐエフェクターのヘッドルームが狭いと

SENDボリュームを極端に絞らなければならないので古いエフェクターは要注意です。

出来ればギター直レベルとラインレベルに対応しているエフェクターが望ましいです。

しっかりとレベル管理が出来ればビンテージフェンダーの歪みに

最新のリバーブやディレイを美しく乗せる事が可能になります。

最後にKANTERについて。

http://www.evaemis.com/kanter2.html

簡単に説明するとKANTERは正相信号のみをブースト出来るエフェクターです。

ブーストと言っても3db程度ですので普通のブースターエフェクターの様な使い方は出来ません。

しっかり位相が管理出来る事が前提で常に正相で出力出来るシステムを構築する必要があります。

正相信号だけほんの少しブーストしてどんな効果が得られるのか。

音が立体的に変化し出音も速くなります。

スピーカーの口径が大きくなったように感じられ大きな音にしなくても

迫力のあるサウンドが作り出せるようになります。

文章では本当にお伝えし難い効果なので体感していただかないと伝わらないのが辛いです。

一旦組み込むと手放せなくなるエフェクターである事は保証します。

同様の改造はFENDER VIBROVERB REISSUEにも施しました。
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以前ご紹介させていただいたオレンジのアンプにも。
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当たり前ですがどんなアンプにも同様の改造が可能です。

EVA電子でシステムを構築する場合はあまり個別の音色に口を挟んでどうこう弄るような事はしません。

エフェクター個々に意見を出すのは位相が反転する場合くらいです。

「位相反転しないように処置までして使うのか」

「位相反転しないエフェクターに変更するか」

「使わないようにするか」

以上です。

限られた予算をどう分配し機材のポテンシャルを最大限引き出す事を考えて色々ご提案させて頂いております。
プロフィール

evaemis

Author:evaemis
大阪でオリジナルエフェクターやエフェクトボード製作を手掛けるEVA電子楽器サービスです。

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