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「アンプ改造のご紹介 その⑥」

直近に納品させていただいた「Marshall JCM800 Reissue」のご紹介です。
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このアンプはブログを書いている管理人の私物だった物で、

79年製JMPに入れ換えたのでデジマートに出品していました。

インピーダンスMOD・EQシフト・ポイントトゥポイントの3点のモディファイを施しています。

購入希望のお問い合わせと合わせて追加で改造したいプランが記されていました。

・クリーンチャンネル追加

・リードチャンネル追加

・ノイズゲートを内蔵

・アッテネーターを内蔵

これら4点に加えてこちらからのご提案として

・SHIFTコントロール追加

・INPUTのHi-ZとLo-Zを選択可能に

以上が今回改造を施した内容です。

クリーンチャンネルとリードチャンネルの追加はすぐにイメージ出来ました。

元々1チャンネルアンプをギターボリューム操作でクリーンからドライブサウンド、

オーバードライブを踏んでリードサウンドへとサウンドメイキングが出来るコンセプトだったからです。

リードチャンネルは以前「TUBE MOD」を製作し真空管を追加したリードサウンドもイメージ出来ていました。

クリーンチャンネル追加方法はいたって簡単、

ノーマルのGAINコントロールをもう1個追加しミニスイッチまたはフットスイッチで切り替えます。

GAIN1をクリーンとするなら下げ目に設定、GAIN2をドライブとするなら好みの位置まで上げるだけです。
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クリーンと言ってもマーシャルなのでフェンダーの様なドクリーンは出せません。

マーシャルをドライブさせギターのボリュームを絞った時に生まれる

マーシャル特有の良いクリーンサウンドが切り替えひとつで作れます。

リードチャンネル用には12AX7を1本追加しますがあらゆる工夫を施しています。

真空管で簡単にゲインアップは図れますが位相の問題が生じます。

ブーストをONにすると位相が反転してしまうので反転しないよう特別な回路を設計しました。

ブーストをONすると音が引っ込む、またはブーストをONにした時だけ音が抜けるなんて事はありません。

音質に関しても拘りました。

TUBE MODを取り付けた時に感じた不満点、

エフェクターでブーストするより良いハイゲインは作れるがブーストしていくと飽和感も増してしまい、

低音弦のリフを刻んだ時などにスピード感とエッジが着いて来ないと感じていました。

クリーンの延長線上にリードサウンドが位置出来るようブーストサウンドには徹底的なチューニングを施しました。

リードサウンドに切り替えてもピッキングアタックの初速や低音弦の輪郭がホヤけない

芯とスピード感のあるリードサウンドを構築しました。

ブースト量も過剰にせず飽和しないギリギリのブースト量をいくつも試作を重ね決定しました。



一番最初のサウンドチェックの際撮った動画です。

ギターはN4を直、クリーンサウンドはミックスポジション、リードサウンドはリアL500です。

ドライブゲイン・ブーストゲイン・プレゼンス・トレブル・ミドルは全てMAX,

ベースとシフトは輪郭を失わないよう5辺りで調整しマスターボリュームは2.5程度です。

シフトコントロールとはEQで作った音は崩さず音の重心を上下出来る独自の回路です。

この動画をご依頼者様にお送りしてサウンド面ではOKをいただけました。

難関はサウンド面ではなくノイズゲートとアッテネーター内蔵とそれらのコントロールでした。

内蔵用ノイズゲートをiSPデシメーター2に決めて

インピーダンス調整や高入力にも耐えるモディファイを施しましたが、

ゲートをONするとサウンドの変化が著しくサスティンの減衰も不自然で許容出来ません。

プリアンプ→パワーアンプ間でいくつも取り付け位置を変えて試験し

最終的に納得出来る位置が見つかりました。

アッテネーターはEVA製品のFINAL TRIMERをこのアンプ用にリファインして内蔵しました。

ある程度の小音量でもヌケが確保出来るように見直しを図り使用時に違和感が無いように注意を払いました。
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追加した機能のコントロールはミニスイッチでON/OFF可能の他、

チャンネル・ブースト・ノイズゲートは外部フットスイッチにてON/OFF可能にしています。
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ON/OFFの制御は単純な機械式ラッチではなく電子制御タイプとしています。

切り替えた際のポップノイズの心配はありませんし切り替えのレスポンスも違和感ありません。

全て専用設計ですのでノーマル状態の内部と改造後の内部を見比べていただければ

只ならぬ雰囲気がお分かりいただけるかと思います。

これが
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こう
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多機能にしたり便利にしたりする事が目的ではありませんので

あくまでご依頼者様が理想とするマーシャルサウンドを具現化し、

せっかく追加した機能がサウンドの足を引っ張る事の無いように考慮した結果です。

納品を終え数日後にご依頼者様からご連絡いただけましたが本当に気に入っていただけた様で安心しました。

納期を大幅に延長いただいてお待たせしてしまいましたが

「自分が理想としていたマーシャルサウンド」とのお言葉をいただきうれしい限りです。

ご注文から完成に至るまでのやり取りはメールだけでお会いした事はもちろんお電話でお話した事もありません。

全面的に信頼いただきお任せいただけた事が本当にありがたくもありプレッシャーでしたが

マーシャルのモディファイに関しては新たなノウハウがいくつも蓄積出来ました。

いつになるかは分かりませんが今回の改造を踏まえた上で

79年製JMPをデモ機として試奏出来るようにしたいと思っています。
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「アンプ改造のご紹介 その⑤」

今回は大胆にもビンテージアンプを改造した例です。

どちらも60年代中期のFENDERヘッドアンプです。

BASSMAN AMP
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BAND-MASTER
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ブラックフェイスのフェンダーアンプは如何にオリジナルを保っているかが価値の基準で

改造してしまうなんてとんでもないと言うのが一般的なご意見でしょう。

ごもっともです。

ただ現行のギターやエフェクターを織り交ぜたシステムとして考えた場合、

アンプがオリジナルのままでシステムが成り立つでしょうか。

難しいと思います。

ご紹介する2台のアンプは共にインピーダンスMODとEQシフトを施しています。

入力はローインピーダンスのみと割り切っています。

EQはもう少し突っ込んで「MIDDLE」を追加しています。

このMIDDLEは固定された中域の周波数を上げたり下げたりすると言うよりは、

ギターの肝になる中域を前に押し出す感覚で効きます。

後述するKANTERの効果との相乗効果でより音が立体的になります。

あくまでもアンプの持つキャラクターは崩さず現行機材との融合を考えて手を入れています。
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ここからの改造はどなたにでもお勧め出来る改造ではないかもしれません。

SEND・RETURNの増設ですがかなり思い切っています。

なにせ片方のチャンネルを潰してそのジャックとツマミを

そのままSEND・RETURNに流用してしまうのですから。
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ここまで手を入れる事に賛成した理由はアンプの歪みを最大限に活かせると判断したからです。

2台ともVOLUMEを上げるとナチュラルにドライブしフェンダー独特の素晴らしいサウンドが作り出せます。

このドライブサウンドに空間系を掛けたい場合どうしてもアンプ手前にエフェクターを配置せざるを得ず、

リバーブやディレイの後に歪みが来るのでどうしても空間系が濁ります。

その問題点を解消するための対策です。

単純にエフェクトループを増設すると問題があります。

歪みの加減はVOLUME操作のみで行うので歪ませたければVOLUMEを上げるしかありません。

単純なエフェクトループではSENDからの信号レベルがとんでもなく高いレベルになってしまい、

普通のエフェクターではすぐにクリップしてエフェクター内で音が割れてしまいます。

その問題点を改善するためにSENDとRETURNにそれぞれ独立したボリュームを備えています。

アンプのVOLUMEを上げて歪みを作り出した後にSENDボリュームで

エフェクターに入力出来るレベルまで調整する事が出来ます。

エフェクターのヘッドルームギリギリまでSENDボリュームを上げる。

レベルメーターの付いていないエフェクターだと

自分の耳で判断しなくてはいけないので難しい調整です。

最後はRETURNボリュームで全体の音量を調整します。

マスターボリュームの役割も兼ねています。

ここを絞りすぎるとパワー部に行く信号量が減ってしまうのでドライブ感が失われます。

結局それなりの音量を出さないとアンプがドライブしてくれないので、

自宅で鳴らせる位の小音量でアンプをフルテンにしたサウンドが

作り出せると言った美味しい話でもありませんのでご注意下さい。

またエフェクトループに繋ぐエフェクターのヘッドルームが狭いと

SENDボリュームを極端に絞らなければならないので古いエフェクターは要注意です。

出来ればギター直レベルとラインレベルに対応しているエフェクターが望ましいです。

しっかりとレベル管理が出来ればビンテージフェンダーの歪みに

最新のリバーブやディレイを美しく乗せる事が可能になります。

最後にKANTERについて。

http://www.evaemis.com/kanter2.html

簡単に説明するとKANTERは正相信号のみをブースト出来るエフェクターです。

ブーストと言っても3db程度ですので普通のブースターエフェクターの様な使い方は出来ません。

しっかり位相が管理出来る事が前提で常に正相で出力出来るシステムを構築する必要があります。

正相信号だけほんの少しブーストしてどんな効果が得られるのか。

音が立体的に変化し出音も速くなります。

スピーカーの口径が大きくなったように感じられ大きな音にしなくても

迫力のあるサウンドが作り出せるようになります。

文章では本当にお伝えし難い効果なので体感していただかないと伝わらないのが辛いです。

一旦組み込むと手放せなくなるエフェクターである事は保証します。

同様の改造はFENDER VIBROVERB REISSUEにも施しました。
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以前ご紹介させていただいたオレンジのアンプにも。
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当たり前ですがどんなアンプにも同様の改造が可能です。

EVA電子でシステムを構築する場合はあまり個別の音色に口を挟んでどうこう弄るような事はしません。

エフェクター個々に意見を出すのは位相が反転する場合くらいです。

「位相反転しないように処置までして使うのか」

「位相反転しないエフェクターに変更するか」

「使わないようにするか」

以上です。

限られた予算をどう分配し機材のポテンシャルを最大限引き出す事を考えて色々ご提案させて頂いております。

アンプ改造ご紹介 その④

定番改造インピーダンスMOD・EQシフト・PtoPに加えて

更に一歩踏み込んだ改造のご紹介です。

FENDER BASSMAN Reissue
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FENDER VIBROVERB Reissue
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こちらの2台に施した改造は整流管の追加です。

インピーダンスMOD・EQシフト・PtoPの改造で

初速の速さ、引き締まった低音と太さ、煌びやかな高音は手に入りましたが、

整流管の持つ柔らかさは元々の仕様であるシリコン整流では手に入りません。

そこで整流管を追加してほしいと言うリクエストにお応えしました。

もちろんご依頼者は別々なのですがお二人とも

ノーマルのシリコンと追加する整流管を切り替え出来る様にしてほしいとご要望でした。

2台ともグラウンドスイッチが装備されていたのでそちらを流用し切り替え可能にしました。

BASSMAN
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VIBROVERB
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シリコンはシリコンの良さがあり立ち上がりが速くソリッドな歪みが作り出せます。

整流管はビンテージ感のある柔らかさが特徴で歪ませても伸びのあるスムーズなサウンドです。

作業的には大変でしたが両方とも捨てがたいサウンドなのでご要望は最もかと思いました。

VIBROVERBは個人的に同じ物を所有しているのでその良し悪しは隅から隅まで熟知しています。

別のキャビネットに繋ぎフルテンにした時のサウンドは最高にかっこよく歪んでくれます。

ただキャビやスピーカーとの相性によっては攻撃的過ぎてもう少し角を落としたいと思ってましたが、

整流管に切り替える事で耳に痛い周波数帯をうまくカットしてくれるようになりました。

クリーンサウンドは整流管の方が圧倒的に往年のフェンダートーンに近くなります。

アンプがノーマル状態で整流管だけ追加する改造を施すのはお勧め出来ません。

ノーマルではあらゆる箇所で音が詰まってしまっているので

整流管の良さが発揮出来ないと思います。

全てを足した改造費用は決して安くはありませんが一生モノのアンプに成り得るでしょう。

アンプ改造ご紹介 その③

今回は2台ご紹介。

「'64 Vibroverb Custom Reissue」

2000年代に発売されたCesar Diaz氏が監修したSRV仕様のアンプ。

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以前にも何度かこのアンプを触る機会があったのですが純正エミネンススピーカーが、

アンプのポテンシャルを全然活かし切れていない音でした。

このアンプはスピーカーを純正からJBLのKかDのアルニコ15インチに交換されていましたが、

ElectroVoice EVM-15Lが持ち込まれ交換希望でしたがフレームがトランスに当たるため断念。

でもJBLで充分過ぎる程このアンプのイメージに合った音だったので不満はありません。

切り替えで整流管かシリコンを選択出来るのですがノーマル状態ではシリコンが良いなと言う印象でした。

もともとポイントトゥポイントだし最初は入力のインピーダンスMODだけで預かりましたが、

結局このアンプもEQに手を入れた方が良いとの判断でEQシフト改造も行いました。

完成後のサウンドチェックでスタビライザーだけ繋いで音を出した瞬間

「えぇ~わぁ~」

ビンテージアンプのように包み込まれるようなやさしい倍音。

リバーブを少し掛けるだけで奥行と拡がりのある空間が出来上がる。

決して甘いだけの音ではなく立ち上がりは速いし骨太、

でも癒される柔らかさを兼ね備えた素晴らしい仕上がりになりました。

改造後は整流管一択でしたね。


もう一台は「ORANGE RETRO 50 CUSTOM SHOP」
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ORANGEでも日本では見かけた事無い珍しいアンプです。

流石カスタムショップだけあってポイントトゥポイントなど現行のヘッドとは造りが違いました。

最初の音出しでは悪くはないけど泣くほど良くもない音。

でも手を入れれば絶対に良くなるイメージが出来るアンプでした。

インピーダンスMODとEQシフトのメニューで改造をする事にしました。

インピーダンスMODやEQシフトって劇的に音が変わるような改造ではなく、

インピーダンスの調整で音の経路を適正化し

EQシフトは全然効いてほしい所で効いてくれない明後日を向いているEQ周波数を

音楽的な方向に修正してあげると言う地味な改造です。

だからこそアンプが元々持っているポテンシャルが重要で

余白になってしまっている部分を引っ張り出してあげるイメージです。

モディファイ後はイメージ通り素晴らしいアンプになりました。

GAINノブを上げていくとクリーンからドライブサウンドまでリニアに変化してくれて、

EQはMIDDLEとTREBLEはMAXでBASSはギターによって必要な分だけ上げる。

立ち上がりが速くスコーンと抜けてくれる気持ちの良いアンプになりました。

そんなに多くORANGEアンプを触って来たわけではありませんが

間違い無く今までで一番良いORANGEアンプです。

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同時に元々は無かったセンドリターンも増設したのですが、

センドリターン増設についてはまた別の機会で紹介させていただきます。

アンプ改造ご紹介 その②

今回は「Marshall JTM45 Reissue」です。
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Reissueシリーズは1959・1987X・JCM800は定番で何台か送り出しましたが、

JTM45は触るのも初めてで興味津々でした。

既に改造が施されているとの事でインピーダンスMODとチャンネルリンク改造だけの予定でしたが、

音を出してみると「うーん・・・どこがどう変わっているんだろう?」と言った印象。

中を見てみるとコンデンサや抵抗などのパーツがふんだんに交換されていました。

音色はノーマルに比べれば変わっているのかもしれないけれど

初めてJTM45を弾く私にはよくあるリイシューマーシャルで、

リイシュー特有の立ち上がりの悪さや基盤臭さが感じられました。

「必ず期待以上に仕上げますからインピーダンスだけじゃなくて

EQシフトとポイントトゥポイントもやりましょう」とお客様にお伝えし承諾を得ました。

改造を終えて音を出してみると「オオーーメッチャ良い!」一人で声を上げる程の出音。

立ち上がりが速くEQも狙った方向にキビキビ効く、

基盤臭さが抜けて幕が一枚も二枚も取れた垢抜けたサウンド。

前に施していた改造内容も本領を発揮出来たのかもしれません。

JTM45が持つ音の柔らかさが心地良く耳障りな周波数が無いスムーズなドライブサウンド。

インピーダンスMOD・EQシフト・ポイントトゥポイントで音の出方を変えてあげると

目詰まりしていたサウンドが一気に吐き出され秘めたるポテンシャルが解放されます。

このクラスのマーシャルやフェンダーは基礎設計が良いですから音の出方を整える事で、

皆さんがイメージするマーシャルやフェンダーのサウンドに近づける事が出来るひとつのご提案です。
プロフィール

evaemis

Author:evaemis
大阪でオリジナルエフェクターやエフェクトボード製作を手掛けるEVA電子楽器サービスです。

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