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アクティブベースとバッファ

10年以上前まだインピーダンスマッチングについて深く考えていなかった頃のお話。

ミュージックマンスティングレイを持った知り合いのベーシストがスタビライザーを試奏しに来てくれました。

自信を持って当時最高峰スタビライザーだった「SS-HG」ハイグレードタイプを弾いてもらいました。

SSHG.jpg

音を出して弾いて数十秒「うーん、気持ちよくない」と一言。

横で聞いていても良くなったと感じられないので不思議に思っていました。

結局ベースの出力は正相だしこのままアンプ直で使い続けると言って終わりました。

当時はスティングレイとスタビライザーの相性が悪いのだと思い込んでいましたが、

2014年からインピーダンスマッチングに取り組みだし時に答えが分かりました。

アンプ直でもインピーダンスが合わないアクティブベースにスタビライザーを足す行為は、

余分にインピーダンスが合わない箇所を増やすだけの結果になっていたと言う事。

確かに音色は変わるがタッチやニュアンスが欠け音が遠くなった感じが、

弾いてテンションが上がるか上がらないかを判断基準としているプレーヤーには許せなかったんですね。

今ならアクティブ回路をHi-Z MODしてアンプ直で弾いてもらえばテンション爆上がりだろうなぁ。

ブログ「アクティブベース(ギター)プリアンプHi-Z MOD」
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アクティブベース(ギター)とワイヤレス

近年ワイヤレスシステムは飛躍的な進化を遂げて安価で高性能な物が多くなりました。

ただこのワイヤレス送信機も入力はハイインピーダンスとなっていて

アクティブベースを繋ぐとその時点で劣化が始まってしまいます。

かなり前からそのワイヤレス使用時の劣化問題の相談を受けていただのですが解決は難しかったです。

ワイヤレス送信機の入力部をアクティブベースに合わせたローインピーダンスに改造しようと試みましたが、

最近のワイヤレス送信機の小型化により手を入れる事が極めて困難で断念しました。

2000年代辺りの大きいワイヤレス送信機なら可能でしたが今更使う人はいないでしょう。

アクティブベースプリアンプHi-Z MODでようやくワイヤレス使用時の音質劣化を解決する事が出来、

アクティブサウンドを余す事無くシステムに送り込む事が出来るようになりました。

何年か前「そこに鳴る」ベーシスト藤原さん使用しているベースがアクティブ・パッシブ切替が出来たので、

ライブのリハ現場でフロアで聞いていても違いが分かるか試してもらいました。

当時のシステムはマイキングせずラインのみでした。

アクティブに切り替えると明らかに音がボヤけたのが分かりました。

そこにギターとドラムが入るとベースの輪郭がパッシブの時より

滲んでフロアで聞いていて全然気持ちよくありませんでした。

これでアクティブを使う理由が無くなったのでそれ以来ずっとパッシブで使用されています。

すごくミクロな劣化に感じられてもライブハウスのフロアと言うマクロな現場では音に大きく影響を及ぼします。

音質劣化のバタフライエフェクトです。

せっかくワイヤレス問題が解決したのだからアクティブのアグレッシブなサウンドをフロアで体感してみたいですね。

ブログ「アクティブベース(ギター)プリアンプHi-Z MOD」

アクティブベース(ギター)プリアンプHi-Z MOD

アクティブベースのプリアンプ出力はローインピーダンス信号です。

ローインピーダンス信号は外来ノイズの影響を受けにくく、

パッシブピックアップに比べると非常にノイズレスで音作りの幅も広いのが特徴です。

ただ問題なのはエフェクターやアンプのインプットがパッシブピックアップの

微弱な信号を受ける用のハイインピーダンス入力になっている事です。

ローインピーダンス信号がハイインピーダンス入力に入るとローカットが起こります。

これが「音ヤセ」の根本原因です。

アクティブベースは基本的にどこに繋いでも「音ヤセ」した状態から音作りがスタートしています。

そのアクティブベースのベースプリアンプ回路に新開発のHi-Zユニットを直接取り付け

プリアンプのローインピーダンス信号をハイインピーダンス信号に変換してアウトプットするMODを開始します。

プリアンプ出力インピーダンスを計測し緻密にマッチングを取る事が出来るため、

プリアンプの音色を変える事無く極自然なハイインピーダンス信号となってアウトプットされます。

アクティブベースのローノイズで多彩な音作りのメリットはそのままに

パッシブベースをアンプ直で繋いだ時の様な自然な太さと倍音感が得られます。

Hi-Z MODのビフォーアフターの音源を録ってみましたので参考にして下さい。

ベースを直接インターフェースのINST入力へ接続した音3パターンです。

ベースはインドネシア製スティングレイ5弦です。
thumbnail_IMG_2885.jpg


MOD前指弾きサウンド
evaemis · Bass Original Finger1

MOD後指弾きサウンド
evaemis · Bass Mod Finger1

MOD前ピック弾きサウンド
evaemis · Bass Original Pick1

MOD後ピック弾きサウンド
evaemis · Bass Mod Pick1

MOD前ピック弾きB弦サウンド
evaemis · Bass Original Pick2

MOD後ピック弾きB弦サウンド
evaemis · Bass Mod Pick2


音色が劇的に変わる訳ではないので一聴すると何が違うのかよく分からないかもしれません。

出来るだけ色々な視聴環境(スマホ・イヤホン・モニタースピーカー・オーディオ等)で

繰り返し聞いていると聞きどころが分かり違いが明確になって来ると思います。

指弾きでビフォーアフターを聞くとMOD前はクリップ気味で音に芯が無く全体的な音の纏まりに欠けます。

ピック弾きになるとMOD前はスティングレイ特有のメタリックな質感と

ベース本来の低域の音の繋がりが無く別々に鳴っている様に聞こえます。

ピック弾きB弦サウンドの違いは顕著でB弦がボソボソ鳴っていて芯が無くバタついて纏まりもありません。

このMODを始める前はMODすると低音域が出過ぎてその補正に苦労するのではないかと想像しましたが、

実際に失われていたのは低域より音の芯の部分である太さだったのだと気づきました。

アクティブベースの場合このMOD前サウンドから全ての音作りが始まるのですから大問題です。

アンプで鳴らすとMOD後はアクティブ特有ピッキング時の暗さが消え音が明るく明瞭で出音も速く感じました。

この違いは失われていた倍音が出ているからでしょう。

低域・中域・高域は後からでもEQ等で補正出来ますが一旦失われた太さと倍音は二度と復活しません。

このビフォーアフターの違いを取るに足らない問題だとと切って捨てるか深刻に捉えるか。

ノイズレスなアクティブハイインピーダンスサウンドは今後の音作りに多大なる恩恵をもたらしてくれるはずです。

取り付けるHi-Zユニットの電源はプリアンプから取り出します消費電量にはほとんど影響ありません。

アクティブベースHi-Z MODの受付について
Hi-Zユニット取り付け費用は税込み22,000円

(今後機種によっては変動する可能性もございます)

・ベースのメーカーと機種名を明記、ユニット取り付けには9V電池1個分のスペースが必要です、
キャビティ内のスペースを写真等で事前に確認させていただきます。
直接持ち込んでいただければ確認はさせていただきますが必ず事前にご予約下さい。

・郵送でも受け付け可能ですがハードケースまたはそれに準ずる箱に入れて発送願います。
(ハードケースはエアキャップ等で包んで発送下さい)
元払いでお送りいただき返送は佐川急便着払いにて行います。

・納期はベース本体受け取り後最大2週間とさせていただきます。

・ベース本体が逆相出力の場合アップチャージで正相出力に出来ます。
(別途税込み11,000円)

・パッシブとアクティブの切り替えが出来るベースにも取り付け可能です。

・パッシブとアクティブで出力位相が異なる場合アップチャージで位相を揃える事も可能です。
(その場合パッシブの位相に合わせる事になります、別途税込み11,000円)

・もちろんアクティブピックアップが搭載されたギターも同様のHi-Z MOD可能です。

お問い合わせは必ずメールにてお願いいたします。

その際にフルネームは必ず記載して下さい。

お問い合わせは下記メールアドレスまでお願いいたします。

evaemis@power.email.ne.jp

何故4ケーブルメソッドがうまく行かないのか

4ケーブルメソッド

ギターとマルチエフェクターとアンプを4本のシールドで繋ぐ事から来た語源だそうです。

タイトルの「うまく行かない」は音が出ないなどのトラブルの意味ではありません。

「出来る事が多く一見理想のシステムに思えるが肝心の音が理想と程遠い」です。

では何故そう言う現象が起こるのか?

ほぼ全てのエフェクターとアンプの入力はパッシブギターのハイインピーダンス信号を

受けるためにハイインピーダンス入力で設計製作されているからです。

※アンプやマルチエフェクターのリターンも含む

エフェクターを通過するとハイインピーダンス信号がローインピーダンスに変換されます。

(以下ハイインピーダンスをHi-Z、ローインピーダンスをLo-Zと表記します)

その変換されたLo-Z出力が次の受け口(エフェクターまたはアンプ)であるHi-Z入力に入る。

この時点でギタリストとベーシストを永遠に悩ませる「音ヤセ」が起こります。

アナログエフェクターの場合は「音ヤセ」だけで済みますが、

マルチエフェクター等デジタルエフェクターは楽器信号がA/D→D/A変換されるので音質変化も著しい。

(A/Dアナログ→デジタル変換・D/Aデジタル→アナログ変換)

では普通にマルチエフェクターとアンプを組み合わせた4ケーブルメソッドの信号の流れをご覧下さい。

何もしない状態

インピーダンスが合っているのはギターとエフェクターインプットのみです。

Lo-Z信号の出力は水道管、入力口であるリターンはHi-Z受け土管サイズで表しました。

Lo-Z信号を水道管で強く押し出しても受け口が土管なのでいくら押し出しても信号がダダ漏れです。

例える為にGT-1000を上げていますがKEMPERやFRACTALその他マルチでも同じです。

これではまともに鳴るはずがありません。

EVA電子ではこの根本的な問題点を解決する為に2014年からインピーダンスMODを開始しました。

Lo-Z信号を受ける入力口全てをHi-Z受けからLo-Z受けに改造する事を呼称しています。

更にマルチエフェクターの性能をもっと引き出す為に

スタビライザーとの組み合わせを推奨し現在までに数多くモディファイを行ってきました。

スタビライザーが非常に繊細で微弱なHi-Z信号を凝縮し

耐ノイズ性に優れた強力なLo-Z信号に変換しエフェクターへ送り込みます。

スタビライザーと組み合わせ各所インピーダンスマッチングした理想の信号の流れが以下の通りです。

完璧マッチング

ギターシグナルがどの箇所でも劣化する事なくアンプからアウトプットする事が出来ます。

ここまで機材をセットアップする事が出来ればその出音に驚かれる事は間違いないです。

「エフェクターのモディファイだけじゃダメなのか?」

FXだけMOD

音ヤセが最も顕著に感じられる箇所はアンプのインプットとリターンです。

エフェクターだけモディファイしてもAMP SEND→FX RETURNの1か所しかマッチングしません。

もちろんやらないよりはやった方がいいのですが効果の体感度はかなり落ちますし、

それなら4ケーブルメソッドを諦めてマルチの出力を卓へ送った方がよほど効果的です。

またアンプエフェクトループを使うと音ヤセが酷いのでエフェクターを

インピーダンスMODしてほしいと言う相談も非常に多いのですが、

結局アンプに手を入れない限り根本解決はしません。

ミキサーを入れて並列にするとか。

結局ミキサーのINPUTもRETURNもHi-Z入力なので余計に音ヤセの箇所が増えるだけです。

イコライザーを入れて音質を補正するとか。

無くなってしまった信号はEQでいくら上げても復活しません。

そんな事で解決するならアンプEQやマルチエフェクター内蔵EQでなんとかなってるはずです。

結局エフェクターとアンプに手を入れてスタビライザーと組み合わせる方法が一番安上がりです。

マルチエフェクターインピーダンスMOD費用 15,000円~20,000円

アンプ INPUT&RETURNインピーダンスMOD費用 25,000円~35,000円
※アンプによってこの価格帯で出来ない場合もありますのであくまで目安として下さい

スタビライザー購入費用 25,000円~35,000円

だいたい65,000円~90,000円ほどの予算です。

同時に出音の位相も合わせる事が出来て全くストレスの無いシステムの完成です。

ここで初めて「音作り」と「練習」に集中する事が出来ます。

KEMPER プロファイリング SCHON氏 ライブ用リグ製作

前回のブログ「KEMPER インピーダンスMOD 比較音源」は

あくまでオマケで本編はこちら。

去年の9月OHAYO STUDIOにご協力いただきSCHON氏とライブ用リグを製作しました。

フェスやイベント出演の際アンプシステムを持ち込めない時はKEMPERを使っています。

しかしそのサウンドには大いに不満があり、

なんとか納得行くサウンドに出来ないかと言うご相談から始まりました。

まず事前の準備として既にインピーダンスMODされている

KEMPERにもう一段階手を入れました。

リグ製作専用機と割り切って背面のMIC入力のインピーダンスを見直し、

マイクプリアンプとのインピーダンスマッチングを最適化しました。

MIC入力はリターンやオルタナティブ入力と共用なので

再MOD後はエフェクターなどの楽器を繫ぐには低すぎる値となります。

次にアンプの準備。PEAVEY5150Ⅱオレンジカウンティ&EVAインピーダンスMOD。

当時はツアー中につきアンプを持ち出す事が難しかったため

全く同じ改造を施しているアンプをお借りしました。

IMG_0427.jpg

いつもお世話になっている

LOUDSTORMギター&ボーカルMATS氏からお借り出来ました。

IMG_0428.jpg

キャビネットもSCHON氏がライブで使用している

SONICBOOM製がスタジオに常備されており、

スピーカーもEVM-12LとVINTAGE30と同じスピーカーがインストールされています。

マイクもライブで使用されているSM57とゼンハイザーを使いました。

IMG_0425.jpg

ギターとKEMPERの間にはPHC-VIC 30Vのみ使用しています。

IMG_0419.jpg

録りに一番肝心なマイクプリアンプはEVA MicPreampを選びました。

音色云々では無くキャビから出ている音を

そのまま封じ込める事が出来ると判断し選びました。

マイクが2本なので2台用意しました。

IMG_0417.jpg

KEMPERを使っているライブを何本もいくつかのバンドで見て来ましたが、

アタックが聞こえないので本人のタイミングで弾いているように見えず気持ち悪い。

(逆相はお話にならないが正相でもそう聞こえる)

巻き弦のテンション感が無くテロンテロンホヨンボヨンな締りの無いリフの刻み。

ピッキングのダイナミクスが表現出来ていないので音が均一化されいつまらない。

など色々不満がありわざわざここまでやる運びとなったのです。

SCHON氏もKEMPERを使ったライブではニュアンスが全く出せないので、

常に全力でプレイしてしまいライブ後は腕に疲労が蓄積されると言っていました。

しかし疲労が蓄積されるほど力を込めて弾いているのに見ている方には伝わっていない。

こんな悲しい事はありません。

ニュアンスが表現出来ないのは結局リグ製作時における

機器同士のインピーダンスマッチングの問題なので、

その根本原因を徹底的に取り除き今回のリグ製作に至ったわけです。

今回の音源はその製作したリグで前回同様3種類の入力方法の違いを比較したものです。

まずはギターからノーマルインプットへ直接入力したサウンド

ハイインピーダンス出力のパッシブギターと

ノーマルハイインピーダンス入力でインピーダンスはマッチングしています。

ギターからSSPH-HG2を介してノーマルインプットへ入力したサウンド


ギターからSSPH-HG2を介してインピーダンスMODされたインプットへ入力したサウンド


どうでしょうか。サウンドクラウドで前回UPした比較サウンドと比べてみて下さい。

https://soundcloud.com/evaemis

音の重心が一気に低くなりアンプが大きな音で鳴っている

臨場感が再現出来ていると思うのですが。

聞き所は音色じゃありませんよ!

音色だけに拘っているとこのブログの内容は絶対理解出来ません。

音の出方です。

音の出方を整備してあげればライブで表現したいサウンドが伝わるんです。

これはKEMPERに限った話ではありませんが、

とくにKEMPERはそのまま使っていると音の出方に問題が多いんです。

ただここまで追い込んでサウンドメイキングが

出来ると言うのもKEMPERの魅力でもあります。

こうしてSCHON氏と改めて比較音源を作っていて同じ感想を抱いたのですが、

前回の比較音源の時のように

「ノーマルインプット直」→

「ノーマルインプット+スタビ」→

「インピーダンスMODインプット+スタビ」

この順番で音の出方が向上していくのでは無く、

「ノーマルインプット+スタビ」→

「ノーマルインプット直」→

「インピーダンスMODインプット+スタビ」

ノーマルインプットを使った時の印象が入れ替わった事です。

これはノーマルHi-Zインプットでスタビライザーを

挟んでインピーダンスが合わない状況よりも、

パッシブギター直でHi-Z同士繋いだ方がフィーリングが良い。

これは完璧なインピーダンスマッチングでリグを製作すれば

より本物のアンプにフィーリングが近づく証左ではないかなと思いました。

しかしこれで理想のリグが完成した訳ではなく

検証してみてギターボリュームの追従性などに不満点も出てきたので

次回リグを製作する機会があれば

その問題点をどう解消するかなどの課題も出てきました。

このリグで何度かライブを演ったSCHON氏の感想では

かなり問題は改善されてストレスが少なくなったと伺いました。

私自身が大きなホールでそのサウンドを体感出来ていないので

早くその機会が訪れるのを心待ちにしています。


ご紹介したモディファイのご相談やお問い合わせは下記アドレスまで

evaemis@power.email.ne.jp
プロフィール

evaemis

Author:evaemis
大阪でオリジナルエフェクターやエフェクトボード製作を手掛けるEVA電子楽器サービスです。

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